令和5年4月より開始される『相続土地国庫帰属制度』について、いよいよ申請の詳細が固まってきました。当ブログでも以前に、制度としては非常に有望ではあるが、それも制度の運用次第である旨を発信しました。では現状(令和5年2月16日現在)公表されている情報を紹介していきましょう。

法務局のパンフレット

まず制度の名称になっている通り、相続によって取得した土地が対象であることは押さえておきましょう。つまり自分で購入したり、他人から譲り受けた土地は対象外となります。また、遺言による遺贈の場合も相続人であれば対象となりますが、相続人以外が遺贈を受けて取得した土地は対象外ですのでご注意ください。

どんな土地でも申請できるの?

最も気になる点ですね。残念ながら相続で取得した土地ならどんな土地でも国が引き取ってくれるわけではありません。そもそも申請ができない土地申請しても承認がもらえない土地に分かれています。

申請ができない土地とはどんなものでしょうか、

建物が建っている土地
②担保権や地役権などの権利が設定されている土地
③墓地内の土地、境内地、水道用地やため池の用に供されているなど他人の使用が予定されている土地
④土壌汚染されている土地
境界が明らかでない土地、所有権など権利の帰属や範囲について争いがある土地

が挙げられています。

多くの人に関係してくるのが①と⑤でしょう。境界がハッキリしている土地には建物が建っているでしょうし、建物がない土地となると多くは山林など境界があいまいな場合が多いでしょう。つまり①と⑤のどちらかの問題に直面する方が多くなるのではないかと予想しています。

建物が建っている土地については、原則建物の取り壊しが必要になります。ただ小さな小屋の場合など取り壊しを必要としない事例もありますので確認したほうがよいでしょう。

境界についても一定の指針が示されました。境界が明らかでないかの判断は
(1)申請者が認識している隣接土地との境界が現地で確認することができること
(2)申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地の所有者の認識と相違がなく、争いがないこと
と示されています。

(1)の現地で確認できることについては、具体的に金属鋲や杭、コンクリ角などの国に引き渡し後にも耐えられるようなもので境界点を表示する必要があります。これらの条件は土地が山林であっても同様です。土地の状況次第では土地家屋調査士による測量等が必要になるかもしれません。申請後に実際に現地調査が行われます。また(2)については申請後に法務局より隣接地の所有者にヒアリングが行われます。

法務省発行「相続土地国庫帰属制度のご案内」より抜粋

これまでの説明は申請に先立ってクリアしておかなければ入り口にも立てない事項です。事実、法務局は申請の流れにおいて最初に「事前相談」をするよう促しています。これは暗に申請を受け付けるまでの道のりが険しいことを示しています。

新しい制度ですのでまだまだ細かい運用が未定となっています。例えば申請手数料もまだ決まっていません。本制度の利用を検討されている方は、今のうちから準備に取り掛かっておかれた方がよいでしょう。

次号以降も制度の詳細を紹介していきますのでお楽しみに。

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