前回のブログでは相続土地国庫帰属制度(以降「本制度」と表記)の申請の手順について説明しました。今回は本制度を実際に利用できるのかどうかに関わる要件、主に『人』『土地』について解説していきます。まずは自分に申請する資格があるのかどうかを見ていきましょう。

「人」についての要件は比較的敷居を低く設定されています。

相続や遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により土地の所有権を取得した相続人であれば申請することができます。これは単独所有のみならず、共有の場合でも変わりません。さらに共有の場合については、共有者全員で申請する必要はあるものの、他の共有者が相続以外の原因により持分を取得した場合でも申請できます。これは大きなポイントです。

例えばこんな事例があります。
第三者Yから父X(持分1/2)と子A(持分1/2)で土地を購入した後に父Xが死亡。父Xの持分を子Aと子Bが相続により取得した場合、子Aも子Bもそれぞれ共同して申請することが可能です。子Aは土地の共同購入者(売買によって取得した)ですが、父Xから持分の半分を相続したため相続人でもあるわけです。

法務省発行「相続土地国庫帰属制度のご案内」P14より抜粋

本制度はさらに踏み込んで、共有者の持分に一切相続が絡んでいなくても、加えて法人であっても申請できるとしています。下の図をご覧ください。父Xと土地を共同購入した法人Zは、父X死亡後に土地の持分を相続した子Aと共同で申請することができます。

法務省発行「相続土地国庫帰属制度のご案内」P14より抜粋

共有者は自分の持分のみを申請することはできませんが、他の共有者と共同することで割と柔軟に申請を受け付けてもらえることはうれしいニュースです。

『人』に関する要件は比較的緩やかではありますが、注意すべき点もあります。法定相続人以外の方が遺贈で取得した場合は対象外となる点です。もし自身が受遺者として指定されている遺言が見つかった場合は受け取るかどうかを熟考したうえで、不要と判断すれば「遺贈を放棄する意思」をしっかりと示さなければならないでしょう。特に包括遺贈といって「個々の財産を特定せずに、財産の全部または一部を包括的に遺贈する場合(例:遺言者の有する財産の全部を遺贈する)」は、相続放棄と同様に家庭裁判所での手続きが必要になりますので注意が必要です。

次回は『土地』に関する要件について紹介します。お楽しみに。

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