今回は「不動産の相続」に焦点を当ててお届けします。最近、メディアで取り上げられることが多くなった「空き家問題」。読者の皆様の近所にも、すでに空き家が存在しているかもしれません。身近になりつつある(すでになっている?)空き家問題の背景には、相続の失敗が隠れていることが多いのです。
空き家の多くは所有者が不明となっています。これは所有者が存在しないのではなく、元々の所有者の死亡により相続した相続人の所在が不明であることがほとんどです。厄介なのは
その相続人本人も相続したことを知らないケースもあるということです。
配偶者、子などの相続人が相続放棄をすることで、被相続人(亡くなった人)の甥・姪にまで相続が及ぶことがあります。つまり、いとこの実家を自分が引き継ぐ可能性があるということです。
こうした不動産の押し付け合いが起こる原因として、世代間の意識格差が挙げられるでしょう。戦後の成長期に日本の不動産(特に土地)の価値は高まりました。残す側の世代は「土地信仰」があります。不動産を残すことが良い(子や孫に喜ばれる)と信じているわけです。
社会は変化しています
しかし、実態は変化しています。少子高齢化、人口減の現代日本において一部の地域を除いて、不動産の価値が高まるとは考えづらいでしょう。また、核家族が定着し、生活スタイルも変化したため、老朽化した実家を引き継ぎ、住み続ける人も減っています。
大切な家族のために残したはずの不動産が、結果的に“負”動産になって放置されてしまうのにはこうした背景があるのです。
「お子さんは本当にその家を欲しいと思ってます?」
その確認がスタートですよ。
~街の身近な法律家~
相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所