「相続の準備」を考えておられる相談者の中で、相続税対策を気にされる方は非常に多いです。必死の思いで築き上げた財産を少しでも多く子や孫に残してやりたいと考えるのは当然のことでもあります。

相続税については基礎控除があります。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が配偶者と子×2人(合計3人)の場合ですと、4,800万円が控除されます。(※配偶者控除などその他の控除は考慮していません)

 以前と比べて、基礎控除額が減少したこともあり、より相続税対策に熱心な方が増えているのではないでしょうか。お話を伺うと、家族への愛情にあふれた優しい親心を感じます。と同時に、遺言・相続の専門家の立場からすると少し心配になることも少なくありません。

相続税対策に熱心なあまり、肝心の相続人となる家族の意向が抜け落ちてしまう方がいらっしゃるのです。

 特に不動産を複数所有されている方に多いように感じます。高度経済成長期の日本において不動産を所有することは誰もが夢見る「勝ち組」の象徴でした。しかしながら現代の日本社会においては、核家族化・少子高齢化などによる生活スタイルの変容によって、価値観は大きく変わってきています。

 実際に不動産を相続したものの、持て余してしまい空き家のまま放置されている例は全国各地で見られます。それが「空き家問題」の一端でもあるのです。

「誰が何を引き継ぐのがベストなのか」

をまず家族と話し合い、見定めたうえで、できるだけ相続税がかからないような対策を考えることが本来の順序でしょう。いくら相続税が安く済んでも家族の関係にヒビがはいっては意味がありません。

大切な家族に残す最後のプレゼントが遺言です。ご自身亡き後、残された家族が困ることのないような遺言を作成することが重要なのです。

~街の身近な法律家~

相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所