皆さんは「遺言執行者」をご存じですか?遺言執行者とは、遺言の内容の実現に必要な行為を行う者のことです。言葉どおりにまさに「遺言を執行する」わけです。

 これだけ聞いてもその重要性は分からないでしょう。今回は、法律上の細かい話ではなく実務上の遺言執行者の役割とその重要性を紹介したいと思います。

 遺言書を残して亡くなった時に、相続手続きはどのようになされるのでしょうか。基本的には残された家族(配偶者や子など)が協力して、遺言の内容に従って預貯金の解約や不動産の相続登記の手続きをすることになります。

相続人同士が揉めることもある

 相続人の人間関係が良好であればよいですが、現実はそうとは限りません。また遺言の内容が不利になっている相続人がいる場合は手続きをするのに非協力的になることもあります。

 遺言書は、例えるなら企画書や設計図のようなものです。それだけで相続が完了するものではありません。設計図どおりに仕上げる役割が必要であり、それが遺言執行者なのです。

 遺言執行者になるのに特別の資格はいりません。未成年者と破産者でなければ誰でも指定できます。家族でも構いません。しかしながら「遺贈をする」など事実上、遺言執行を要する手続きも存在するなど、遺言執行者は重要かつ専門知識を要する役割です。ぜひ専門家を選ぶことをお勧めします。

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相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所