平成30年の統計によると1年間に20万7千組が離婚をしています。日本人の家族観など文化の変容に伴って、離婚に対するイメージも変化しています。バツイチなる言葉にもかつてのようなマイナスの印象はなくなりつつあるのではないでしょうか。これまでよりも手軽?に離婚ができる社会環境になった一方で、軽んじられていることがあります。それが「バツイチ子持ちの方の相続」です。

 離婚経験がある方で、前の配偶者との間に子どもがいる場合の相続は注意が必要です。モデルケースを設けて具体的に見てみましょう。

~Aさん家族関係~
配偶者B 子×2名(C、D)
前の配偶者E 子×1名(F)

Aさんは現在、家族4人暮らし、結婚は2度目のバツイチです。最初の結婚で子どもが1人います。FさんはEが引き取り、Aとは長らく連絡を取っていません。

 Aさんが亡くなった際の相続について考えてみましょう。遺言が残されていなければ、法定相続人全員による遺産分割協議が必要になります。この場合、配偶者のBさんに加えて子のC、Dは当然ですが、前の配偶者の子であるFさんも法定相続人となります。つまりBさんはFさんを探して連絡をとり、協議をしなければならないのです。これはなかなか大変な作業です。

 前の配偶者の子であるFさん側でも注意が必要です。音信不通になっているため、もはやAさんのことを親とも思っていなくとも法律上の親子関係は消えません。Aさんが借金を残して亡くなった場合に、相続の知識がないと、わからないままに単純相続をしてFさんが借金を引き継ぐ可能性があるのです。

 A、B、Eたち親世代が亡くなってからも注意すべき点があります。C、DにとってFは半血の兄弟姉妹にあたる点です例えば、Cさんが独身・子なしで亡くなった場合に親も亡くなっていれば兄弟姉妹が相続します。つまりFさんがCさんの相続人になりうるのです。

 本人たちはお互いに無関係と思っていても、法律上はそうなっていないというわけです。相続の知識を身に着けていないと思わぬ不利益を被る可能性があるのです。

 今回の事例でいえば、Aさんは相続の準備が必要でしょう。またA、B、Eは親の責務として自分自身はもとより、子どもにも相続の知識を付けさせる必要があるでしょう。「転ばぬ先の杖」ぜひ専門家にご相談ください。

~街の身近な法律家~

相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所