法定後見制度は、家庭裁判所への申立てによって始まり、その内容は法律と裁判所の判断に従って決められます。そのため、必ずしも本人の望みどおりの内容にすべてがならないこともあります。

 一方で、まだ元気なうちに「判断能力が低下したときの援助内容や誰に援助して貰うかをあらかじめ自分自身で決めておきたい。」というニーズに応えるべく定められたのが「任意後見制度」です。どのような制度なのかご紹介しましょう。

①【前 提】 本人の判断能力に問題がない

 自分自身で内容を決めるためには、十分な判断能力が必要となります。

②【契約方法】 任意後見契約を公正証書により締結する

 任意後見契約は、公証役場において、公証人が立会い、本人の意思を確認して作成する「公正証書」により締結する必要があります

③【後見開始】 家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる

 将来において、本人の判断能力が不十分になった時、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。任意後見監督人は、任意後見人の権限濫用を防止するため、任意後見人を裁判所に代わって監督する役割を担います

 原則、本人が元気なうちに準備を始めるもので、本人の意思で好きな形にカスタムメイドできることが最大の利点です。公正証書による契約が必須で、公証人が介在するため一定の安全性も担保されます。

 ライフスタイルの変化に伴い、子どもがいない夫婦、生涯独身の方も増えています。自分自身や愛する伴侶のためにも任意後見制度の活用をお考えになられてはいかがですか?

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相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所