お金なら問題なく分けられる?

 不動産だけが問題となるわけではありません。実際に70万円の遺産(銀行預金)をめぐって争った5人の兄弟姉妹がいらっしゃいました。等分すると一人当たり14万円です。
「兄は大学まで卒業させてもらった」
「弟はいつも多額の小遣いを貰っていた」
「妹は高額な嫁入り道具を用意してもらった」
など兄弟姉妹間の不満が噴出した結果、協議は2年間と長引きました。決して高額な遺産ではありません。なぜ揉めたのでしょうか?それは身内だからこそ起きたのではないでしょうか。当事者にとっては、ある意味これまでの人生を投影した負けられない戦いになってしまうのです。もはや金額の大小は関係ありません。

亡くなった親が一筆「財産は仲良く等分すること」と遺言を残していれば、不満はあったとしても調停・裁判にまで発展せずに済んだのでしょうが、後悔先に立たずです。

備えあれば憂いなし

 改めて遺言の必要性を認識されて、子の立場からも積極的に「親の相続準備」に関わっていくべきことがお分かりいただけたでしょう。
結果的に困難に陥るのは「子=あなた」なのですから。
とはいえ、なかなか子から親へ相続の話をすることはハードルが高いでしょう。親によっては「自分の財産を奪うつもりか」と勘繰ることもあるかもしれません。先述したように、あくまで遺言書の内容や「書く・書かない」を決めるのは親ですから、その気持ちを尊重しながら進めることが最も重要です。

 その前提を心に留め置いたうえで、まずは「自分たちがどんな家族だったか」を話すことをお勧めします。自分たち兄弟姉妹がどんな子どもだったのか、実家を建てた時の心境(持ち家であれば)など思い出話をご両親と語り合うことです。おそらく今まで知らなかった事実や心情が垣間見れることでしょう。そして未来への話しに進むのです。できることなら兄弟姉妹と事前に話し合い、協力を得られると心強いでしょう。帰省の際などに時間をかけてゆっくりと説得していきましょう。一度で解決しようとしないことです

相続は法律や税金も関わり、わかりづらい部分も多々あります。専門家に相談することも大切です。
さあ今のうちから「親からの相続」について考えてみませんか

~街の身近な法律家~

相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所