「ウチは財産なんてないから相続は関係ないよ。」と話される方がたくさんいらっしゃいますが、はたしてそうでしょうか?

自宅があるのでは?土地は?預貯金は?例えば、家が築30年でも、土地が10坪しかなくても、預貯金が100万円以下であろうとも、それらはすべて亡くなった方の財産、つまりれっきとした「相続財産」なのです。

 「でも子供たちは仲が良いので心配いらないよ。」とも言われますが、むしろ仲が良いからこそ苦労する場合もあるのです。

 例えば、評価額1000万円の自宅と200万円の銀行預金を残して親が亡くなったとします。相続人は子2人です。遺言がない場合は、原則は法定相続で遺産分割協議を進めることになります。子2人は遺産を2分の1ずつ分けることになりますが、どう分けましょう?自宅を半分に割ることはできません。

仲の良い兄弟姉妹ほど「どう均等に分けるか」に頭を悩ますことになるのです。

 やむを得ず不動産を共有にする方もいますが、不動産の活用や売却の際に手間がかかり、負担は大きくなります。なにより先の相続を複雑化させます。

 仲が良いからこそ自分だけ遺産を独り占めすることも、もしくは老朽化した実家を兄弟姉妹に押し付けるのも後ろめたいと感じます

 そんな苦労を子や孫にさせないためには、親が誰に何を相続させるのかを決めておくことが重要なのです。そのためには遺言作成が欠かせません。

 もはや日本社会は核家族が当たり前になっています。かつての牧歌的な世代交代は困難になってます。「次世代への円滑な承継とその準備」、もはや一人ひとりが真剣に考えなければならない時代なのです。

~街の身近な法律家~

相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所