日本人の家族観や文化の変化に伴い、最近は遺言作成への関心が高まっています。憲法でも保障されている私有財産制度の観点から考えても、相続の基本は「遺言による相続」であるべきで、その重要性が認識されてきたのでしょう。
それに伴い、巷には遺言書に関する書籍が溢れています。その多くは自筆証書遺言の書き方を指南するものです。丁寧に解説されているものもあり、しっかりと読み込めば遺言を作成することは十分可能です。遺言作成を身近にする意味では頼れる存在と言えるでしょう。
ちなみに自筆証書遺言の要件は次の3点です。
- 全文を自筆する
- 作成の日付と氏名を自署する
- 印を押す
とてもシンプルですね。遺言を作るのはそう難しいことではないのです。
ここで注意いただきたいのは、「シンプルな遺言を作成するのは簡単だ」ということであり、そんなシンプルな遺言で事足りる方はほとんどいないということです。100人いれば100通りの遺言となり、本の事例通りなんてことは滅多にありません。
相続人が複数いれば、遺留分について考慮したほうがよいでしょう。そもそもその財産は本当にあなたの物ですか?(実際に、調査すると亡くなった父親の名義だったなんてことはよくあります。)遺言執行者はどうします? 祭祀承継者は指定されましたか?
実際に、私共がお手伝いして出来上がる公正証書遺言は、もちろん内容によりますが、A4用紙10枚程度の分量になります。正直、自筆証書遺言として書くだけでも大変です。
遺言作成についても、スポーツや料理と同じく優劣があります。不出来な遺言は家族の関係を悪くしかねません。「餅は餅屋」といいます。専門家へ相談することが大事です。多少の費用はかかりますが、もはや現代では必要な先行投資といえるでしょう。
~街の身近な法律家~
相続まるっと相談室 佐藤行政書士事務所