令和5年4月から運用が開始されます「相続土地国庫帰属制度」(以降、本制度と表記)。もう少しわかりやすい言葉に言い換えると「相続したものの利用しない土地を手放すことができる制度」となります。空き家や“負“動産問題など不動産の活用の難しさが取り沙汰されている昨今には注目の制度です。今回はその申請方法など要点を分かりやすく解説していきます。(本情報は法務省作成「相続土地国庫帰属制度のご案内(令和5年2月版)」を参考にしています。)
まずは法務省が挙げている、本制度のポイント4つを紹介します。
その1 相続又は相続人への遺贈により取得した土地について、申請をして承認をされた場合に土地の所有権を国に引き渡すことができる。
その2 制度の活用には、申請手数料及び負担金の納付が必要。
その3 国が引き取ることができる土地は一定の要件がある。
その4 申請先は、土地を所在する法務局の本局。
要約すると、相続で取得した土地に限り、規定の法務局に申請し承認を受ける手続きを経て、一定の負担金を納めた場合に国が引き取ります。但し、どんな状況の土地でも受け取るわけではないのであしからず。というところでしょうか。
申請する手順については、3つのステップが示されています。
ステップ1 法務局への相談
ステップ2 申請書類の作成、提出
ステップ3 負担金の納付 の3つのステップを経ることで、土地の所有権を国に引き渡すことができます。
まずは「ステップ1 法務局への事前相談」について、引き取りを希望する土地の所在する法務局の本局への事前相談が必要になります。例えば、京都府福知山市内の土地であれば管轄の法務局は京都地方法務局 福知山支局となりますが、その本局ですので、京都市上京区にある本局に相談する必要があります。相談は対面に限らず、電話でも可能です。また事前予約をしたほうがよいでしょう。WEBからであれば「法務局案内予約サービス」を利用すると便利です。
相談するに当たっては、法務省のホームページに掲載されている『相続土地国庫帰属相談票』と『チェックシート』の2点を記入したうえで持参する必要があります。より具体的な相談をするためにも
・土地の登記事項証明書
・法務局で取得した地図又は公図
・地積測量図
・土地の現況や全体がわかる画像、写真
など土地の状況がわかる資料類をできるかぎり用意した方がよいでしょう。
事前相談で国庫帰属への目途が立てば、次に「ステップ2 申請書類の作成、提出」に進みます。申請の際に自分で新たに作成する書類はつぎの4つです。
1.承認申請書(様式は法務省のホームページからダウンロードできます)
2.土地の位置及び範囲を明らかにする図面
3.隣接土地との境界点を明らかにする写真
4.土地の形状を明らかにする写真
1~4に加えて用意する書類として
・申請者の印鑑証明書
・固定資産税評価額証明書(任意)
・承認申請土地の境界等に関する資料(あれば)
・申請土地にたどり着くことが難しい場合は現地案内図(任意)
・その他相談時に提出を求められた資料 が挙げられています。
作成した書類については、提出前に法務局に確認してもらうことが望ましいでしょう。確認後、書類に問題がなければ審査手数料の額に相当する収入印紙を貼り、法務局に提出します。
提出方法は、持参のほかに郵送も可能です。
いよいよ最終ステップ「ステップ3 負担金の納付」です。審査の結果、国が引き取ることができると判断した場合、帰属の承認の通知とともに、負担金の納付を求める通知が届きます。負担金の額は一筆20万円が基準となりますが、土地の種目や面積、土地が所在する地域に応じて、面積単位で負担金を算出する場合もあります。
通知に記載されている負担金額を通知到達の翌日から30日以内に日本銀行へ納付すると、納付時点から土地の所有権は国に移転します。また、土地の所有権移転の登記は国が行うため、申請者が登記の申請をする必要はありません。
以上が本制度の申請手順です。文章で見ると簡単そうに見えますが、実際には審査には半年から1年程度の時間がかかる見込みです。余裕を持った対応が必要となるでしょう。本ブログでは今後も要件編などさらに詳しく本制度を紹介していきますのでお楽しみに。
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